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J-POPがアジア市場を制す法/間宮書子(ライター)について
2011.11.18 Friday
◇世界一となった日本音楽市場◇
わが国の音楽市場は今年度、世界トップに躍り出る。長年トップを走り続けてきた米国市場が落ち込み、第2位の日本が浮上したのだ。残念ながら日本市場も縮小傾向にあり、最盛期5000億円といわれたCDと音楽ビデオ市場は現在、3000億円規模になっている。両手を挙げて歓迎できないものの、3倍近い人口差を乗り越えての世界トップだけに、日本の健闘は称えねばなるまい。
市場規模縮小の理由は、パソコンや携帯電話などにダウンロードする音楽配信が増えたことが大きい。CDなどのパッケージ販売の縮小に反比例するかのように、音楽配信は拡大の一途をたどっている。しかし音楽配信は、利益率は高いが単価が低いため、パッケージ販売の減少をカバーするには至らない。また、違法ダウンロードの問題もある。
こうした状況を鑑みると、新たな市場開拓が不可欠に思える。しかし、あらゆる産業が海外に熱い視線を寄せているなか、日本の音楽業界からは、いまひとつ積極的な海外展開の話題が聞こえてこない。実際、3000億円の内訳も、国内制作と輸入が大半を占め、日本からの輸出はごくわずかである。
日本では、一時期に比べると欧米音楽の人気は影を潜めつつあるが、代わって台頭したのがK-POPである。一部ネットを中心に韓流人気を疑問視する声があるが、好き嫌いはさておき、韓流アーティストを耳に目にする機会が増えたことは事実である。日本に限らず、アジア各国においても、一日中、韓流ドラマとK-POPが流れているという話は、しばしば耳にするところだ。いまアジアにおいて韓流は、ブームの名を冠して語られている。
翻って、日本の音楽業界の海外進出状況はどうなのか。また日本の音楽は海外に受け入れられる素地があるのか。今夏、海外販路開拓プロジェクトを立ち上げて本格始動態勢に入ったユニバーサルミュージックのプロジェクトチームリーダー、加藤公隆氏に現況を伺ってみた。
ちなみに同社は、福山雅治、レディー・ガガ、KARAなどが所属する会社で、日本三大レコード会社の一つでもある。加藤氏は都市銀行勤務を経て入社し、それまでの10年間のイギリス生活を買われて洋楽をメインに担当、現在は同レーベルの最高責任者でもある。
「J-POPもこれまで、海外進出がなかったわけではありません。坂本九さん、沢田研二さんなど多数のアーティストが欧米に進出し、成功を収めています。ただ、いずれも単発。一度の進出は成功させても、あとが続かなかったのです」
これを継続的な進出にもっていくのが同プロジェクトの狙いである。
◇K-POPの二つの強み◇
日本の音楽の継続的な海外進出が実現しなかった要因は、皮肉にも日本が巨大市場であるということにある。海外においても、売るためには各地のレコード販売店を回り、テレビ・ラジオなどのマスメディアに登場し、キャンペーンを行なって知名度を上げなければならない。日本でいくら売れていても他国では無名であり、新人アーティストとして一からの宣伝広報活動が必要になる。
宣伝のための期間は当然、日本を留守にしなければならない。つまり、巨大市場を離れるリスクを強いられるのだ。かつてテレビのベストテン番組で、ある出演者が「海外に行くと順位が下がる」と発言したが、日本で売れていれば売れているほど、日本の巨大市場を離れるリスクは大きくなるのだ。
もう一つの要因は、どの産業でも抱えている言葉の壁だ。いうまでもなく、日本人は英語が苦手。売り込みでも、楽曲制作でも、英語ができたほうが馴染みやすいのは、いうまでもない。
K-POPには、日本が抱えるこの二つのマイナス要因がない。2009年、日本の音楽市場が世界2位で24%の世界シェアをもっていた時点で、韓国は第15位の1%であった(IFPI調べ)。昨今の隆盛ぶりを勘案すると多少の変動はあるだろうが、日本に比べて市場規模はかなり小さい。これはつまり、K-POPアーティストにとっては、国内市場を離れるリスクは小さいということだ。逆に、海外市場に出られるかどうかが死活問題になっているともいえる。
そのため、最初から海外をめざして育成され、語学も必死で身につける。「東方神起」や「KARA」は1年の半分は日本に滞在して活動し、また「少女時代」は、米国および日本に精通したメンバーを配置して構成されている。
「味付け」も進出先に合わせる。東方神起は当初、大人志向のグループだった。これは欧米の市場に合わせたものだが、購買層の多くが10代で占める日本市場にはそぐわないということで、日本人スタッフによりアイドル性を加味したプロモートがなされた。その結果、見事ブレークしたのである。
KARAも日本語を話し、日本語の楽曲を歌い、日本のアイドルと同じような活動をしている。少女時代の場合は日本に長期滞在はしないが、来日時に一大キャンペーンを張る。さらに女性ファンの多い日本市場に合わせて、ファッション誌に登場もしている。これらがK-POPの海外戦略である。
しかし前出の加藤氏は、K-POPが成功しているからといって、J-POPも同じ戦略にする必要はない、という。
「日本での成功モデルをそのまま海外にもっていきます。ビートルズもレディー・ガガも、日本で英語を話し、英語で歌い、ヒットしています。だから海外でも日本語を話し、日本語で歌って、通用しないはずはありません。全部が英語でなくても、一部を英語にする方法もあります。その際、歌詞の一部を英語にすることは、J-POPではすでに普通に行なわれていることなので、海外進出に合わせて手を加える必要はないでしょう。また大人志向に変えることも考えていません。アイドルを好む人は世界中にいます。日本語かつアイドルを受け入れる市場は、現状ではニッチかもしれませんが、最初はニッチからスタートしていけばいいのです。寿司を想定してもらえればわかりやすいでしょう」
シャリの上に、ネタを載せる。酢飯も生の魚介類も外国人には最初、ニッチな志向だった。しかし日本のテイストのままで海外に出し、次第に広まっていった。生の魚介類がアボカドに変わることはあっても、当初のシャリとネタの部分は変わっていない。日本のテイストが海外で独り歩きを始めたわけで、それだけ現地に馴染んでいったということだ。
加藤氏のいう方法なら、J-POPアーティストをわざわざ海外向けに育成しないで済む。すぐに受け入れられなくても、日本の市場があるので、利益に結びつかない期間のカバーは可能である。それでも、やはり日本市場を離れるリスクは付きまとうが、巨大とはいえ縮小しつつあることが背景になっているのか、アーティストが海外進出を厭う傾向は次第になくなりつつあるそうだ。
「まずは、日本のいい音楽を探すこと」――加藤氏は、従来の持ち込みやオーディションだけでなく、ユーチューブやニコニコ動画などの投稿サイトを入念にチェックする作業も始めている。砂漠から一本の針をみつけるような気の遠くなる作業だが、アマチュアの楽曲にもつねに目を光らせる、と意欲満々である。
◇「音楽」の日本、「音」の韓国◇
ここで、アジア市場にフォーカスしてみよう。じつはパッケージで92.3%、配信を含めても89.3%を日本が占めている(2010年度、IFPI調べ)。だがアジアには、音楽を楽しむ習慣がないのではなく、金銭を払って聴く習慣がない。さらに著作権法は制定されていても、実態が追いついていない。一例を挙げると、中国は毎年、日本から支払った著作権料の10分の1が、香港やモンゴルからは売上げの増減にかかわらず毎年、一定金額が、著作権料として日本に入金される。法律どおりに処理すると煩雑な手数がかかるので、とりあえず支払っておけばいい、と考えているようだ。
日本に著作権の概念が入ってきたのは、戦後である。進駐軍の指導のもと、丹念に対応しながら欧米の音楽を導入し、いまや世界一の著作権対応国家とまで評されるに至った。しかしここにきて、この著作権遵守ぶりがJ-POPのアジア進出を阻害している、という声が一部から挙がりはじめている。
一方、著作権が日本のテレビ局に譲渡され、ネットでもどんどん流されるなど、K-POPの著作権対応はかなり緩やかである。「J-POPを導入すれば煩雑な著作権処理が付きまとう。ならば、K-POPでいいじゃないか」――著作権意識が未熟なアジア諸国にとっては、好都合な音楽になっているのだ。
一つの楽曲を世に送り出すには、歌い手、作曲家、作詞家、演奏家など、さまざまな人びとが関与する。その対価が、著作権料として支払われるのである。K-POPが緩やかな著作権料で成立するのは、以下のような理由である。
「ビジュアル9割、音楽1割で制作されるのが、K-POP。アーティストのダンスで作り出されたビジュアルを、よりよくみせるために作曲し、聴く人にアピールしやすい言葉をつなげて作詞する。そこにあるのは音楽ではなく、音。そもそも著作権の発生を企図していない」(『日経エンタテインメント』2011年5月号、11月号より)
日本の音楽がファンを誘引し、定着した背景には、ヤマハや河合などの楽器産業の存在がある。楽器産業のほとんどない韓国や中国では、生音楽がなくとも、音があればいい。
「いまや音楽をやっているのは、日本だけ。お金を出して音楽ソフトを買う時代は終わった。日本のような展開を続けていけば、時代の潮流に乗り遅れてしまうだけであり、音楽業界に従事する人々を担うことは難しくなっていくだろう」(前掲誌)
そう警鐘を鳴らす声まで飛び出している。ちなみに、この警鐘に対し、加藤氏はこう反論する。
「昨今、中国にはヤマハが進出し、富裕層は英才教育の一つとしてピアノやエレクトーンなどの楽器を習わせています。音楽を聴く層が育成されているのです」
経済成長期にあるアジア。ほかの国々にも今後、富裕層が増加していけば、音楽を聴く層は増えていくことは十分予想できる。
◇どうする?著作権ビジネス◇
ではK-POPの収入の狙いはどこにあるのだろう。それは「ライブ」である。パッケージ売上げが後退する音楽業界で伸びているのは、配信とライブ。これは世界的な傾向で、米国ではライブが再び活性化しているようだ。日本でも近年は個々のアーティストによるライブのほか、各地で大規模コンサートが開かれ、地域おこしにひと役買っている。
ライブでは入場チケット販売のほか、アーティストに関連するグッズ販売による収入がある。CDや音楽ビデオも会場で販売される。主なコストは、アーティストやバンドの出演料、スタッフの人件費、広告宣伝費に、会場使用料などである。
しかしアジアでのライブ開催は、日本にとって壁がある。他国と物価の差が大きいので、コストに見合った収益が得られない心配が付きまとうのだ。K-POPが有利なのは、物価差が日本に比べてやや小さいこと、そして何より、バンドがいないことだ。ビジュアル重視のため、生演奏が入ることは少ない。多くはコンピュータを駆使したカラオケ形式であり、1万人以上の観客を前に3時間60曲以上を、バンドなしで行なうことも珍しくない。
日本は、この不利をどう乗り越えればよいのか。
「ライブにはスポンサーも付きますから、予算に合わせてやればいい。仮に赤字であっても、宣伝広告のコストと捉えれば採算は合います。あまりに少人数の場合はカラオケでやってもよく、そのあたりは柔軟に対応していけばいい。ただ、やはり生の楽器演奏があるのは強みです。つまるところ音楽は『感動』できるかどうか。生の楽器とコンピュータでは感動が違います」(加藤氏)
K-POPのような緩やかな著作権対応でネットに公開していくのも、ライブで観客数を稼ぐためであれば、ビジネスのつじつまは合う。配信が多くなれば、またそれによりパッケージ商品がヒットすれば、知名度は上がり、観客数が増え、著作権料ゼロでも採算は合うわけだ。
著作権を緩めて、音でいくか。管理して、音楽をやるか――現在、音楽業界を支える二大潮流だが、これは二者択一を迫られる問題ではないし、優劣を競わなければならない事情もない。業界にとっても、消費者にとっても、高いメリットをもたらす道は、両者が刺激し合うことで相乗効果を生み出し、より進化してくれることだ。そして後者の潮流である日本の課題は、アジアの著作権意識をどう高めていくかである。
「一つヒットを生み出せば50年、収益を生み続けることを知ってもらうのです。日本は著作権を守って世界一の市場をつくりました。この成功をアジアが知れば絶対、変わっていきますよ。もちろん法整備の必要もありますから、文化庁あるいは経済産業省の助力にも期待したいところです」(加藤氏)
さらに「われわれはね、日本のいいものを海外に出していきたいのです」という。演歌を海外に売り出すことも考えられるか、と尋ねると、「それは、むしろわれわれの理想とするところです」との力強い答えが返ってきた。
音楽は、文化。J-POPを通して日本人の考え方が世界に広まってくれることを期待したい。
(この記事は経済総合(Voice)から引用させて頂きました)
わが国の音楽市場は今年度、世界トップに躍り出る。長年トップを走り続けてきた米国市場が落ち込み、第2位の日本が浮上したのだ。残念ながら日本市場も縮小傾向にあり、最盛期5000億円といわれたCDと音楽ビデオ市場は現在、3000億円規模になっている。両手を挙げて歓迎できないものの、3倍近い人口差を乗り越えての世界トップだけに、日本の健闘は称えねばなるまい。
市場規模縮小の理由は、パソコンや携帯電話などにダウンロードする音楽配信が増えたことが大きい。CDなどのパッケージ販売の縮小に反比例するかのように、音楽配信は拡大の一途をたどっている。しかし音楽配信は、利益率は高いが単価が低いため、パッケージ販売の減少をカバーするには至らない。また、違法ダウンロードの問題もある。
こうした状況を鑑みると、新たな市場開拓が不可欠に思える。しかし、あらゆる産業が海外に熱い視線を寄せているなか、日本の音楽業界からは、いまひとつ積極的な海外展開の話題が聞こえてこない。実際、3000億円の内訳も、国内制作と輸入が大半を占め、日本からの輸出はごくわずかである。
日本では、一時期に比べると欧米音楽の人気は影を潜めつつあるが、代わって台頭したのがK-POPである。一部ネットを中心に韓流人気を疑問視する声があるが、好き嫌いはさておき、韓流アーティストを耳に目にする機会が増えたことは事実である。日本に限らず、アジア各国においても、一日中、韓流ドラマとK-POPが流れているという話は、しばしば耳にするところだ。いまアジアにおいて韓流は、ブームの名を冠して語られている。
翻って、日本の音楽業界の海外進出状況はどうなのか。また日本の音楽は海外に受け入れられる素地があるのか。今夏、海外販路開拓プロジェクトを立ち上げて本格始動態勢に入ったユニバーサルミュージックのプロジェクトチームリーダー、加藤公隆氏に現況を伺ってみた。
ちなみに同社は、福山雅治、レディー・ガガ、KARAなどが所属する会社で、日本三大レコード会社の一つでもある。加藤氏は都市銀行勤務を経て入社し、それまでの10年間のイギリス生活を買われて洋楽をメインに担当、現在は同レーベルの最高責任者でもある。
「J-POPもこれまで、海外進出がなかったわけではありません。坂本九さん、沢田研二さんなど多数のアーティストが欧米に進出し、成功を収めています。ただ、いずれも単発。一度の進出は成功させても、あとが続かなかったのです」
これを継続的な進出にもっていくのが同プロジェクトの狙いである。
◇K-POPの二つの強み◇
日本の音楽の継続的な海外進出が実現しなかった要因は、皮肉にも日本が巨大市場であるということにある。海外においても、売るためには各地のレコード販売店を回り、テレビ・ラジオなどのマスメディアに登場し、キャンペーンを行なって知名度を上げなければならない。日本でいくら売れていても他国では無名であり、新人アーティストとして一からの宣伝広報活動が必要になる。
宣伝のための期間は当然、日本を留守にしなければならない。つまり、巨大市場を離れるリスクを強いられるのだ。かつてテレビのベストテン番組で、ある出演者が「海外に行くと順位が下がる」と発言したが、日本で売れていれば売れているほど、日本の巨大市場を離れるリスクは大きくなるのだ。
もう一つの要因は、どの産業でも抱えている言葉の壁だ。いうまでもなく、日本人は英語が苦手。売り込みでも、楽曲制作でも、英語ができたほうが馴染みやすいのは、いうまでもない。
K-POPには、日本が抱えるこの二つのマイナス要因がない。2009年、日本の音楽市場が世界2位で24%の世界シェアをもっていた時点で、韓国は第15位の1%であった(IFPI調べ)。昨今の隆盛ぶりを勘案すると多少の変動はあるだろうが、日本に比べて市場規模はかなり小さい。これはつまり、K-POPアーティストにとっては、国内市場を離れるリスクは小さいということだ。逆に、海外市場に出られるかどうかが死活問題になっているともいえる。
そのため、最初から海外をめざして育成され、語学も必死で身につける。「東方神起」や「KARA」は1年の半分は日本に滞在して活動し、また「少女時代」は、米国および日本に精通したメンバーを配置して構成されている。
「味付け」も進出先に合わせる。東方神起は当初、大人志向のグループだった。これは欧米の市場に合わせたものだが、購買層の多くが10代で占める日本市場にはそぐわないということで、日本人スタッフによりアイドル性を加味したプロモートがなされた。その結果、見事ブレークしたのである。
KARAも日本語を話し、日本語の楽曲を歌い、日本のアイドルと同じような活動をしている。少女時代の場合は日本に長期滞在はしないが、来日時に一大キャンペーンを張る。さらに女性ファンの多い日本市場に合わせて、ファッション誌に登場もしている。これらがK-POPの海外戦略である。
しかし前出の加藤氏は、K-POPが成功しているからといって、J-POPも同じ戦略にする必要はない、という。
「日本での成功モデルをそのまま海外にもっていきます。ビートルズもレディー・ガガも、日本で英語を話し、英語で歌い、ヒットしています。だから海外でも日本語を話し、日本語で歌って、通用しないはずはありません。全部が英語でなくても、一部を英語にする方法もあります。その際、歌詞の一部を英語にすることは、J-POPではすでに普通に行なわれていることなので、海外進出に合わせて手を加える必要はないでしょう。また大人志向に変えることも考えていません。アイドルを好む人は世界中にいます。日本語かつアイドルを受け入れる市場は、現状ではニッチかもしれませんが、最初はニッチからスタートしていけばいいのです。寿司を想定してもらえればわかりやすいでしょう」
シャリの上に、ネタを載せる。酢飯も生の魚介類も外国人には最初、ニッチな志向だった。しかし日本のテイストのままで海外に出し、次第に広まっていった。生の魚介類がアボカドに変わることはあっても、当初のシャリとネタの部分は変わっていない。日本のテイストが海外で独り歩きを始めたわけで、それだけ現地に馴染んでいったということだ。
加藤氏のいう方法なら、J-POPアーティストをわざわざ海外向けに育成しないで済む。すぐに受け入れられなくても、日本の市場があるので、利益に結びつかない期間のカバーは可能である。それでも、やはり日本市場を離れるリスクは付きまとうが、巨大とはいえ縮小しつつあることが背景になっているのか、アーティストが海外進出を厭う傾向は次第になくなりつつあるそうだ。
「まずは、日本のいい音楽を探すこと」――加藤氏は、従来の持ち込みやオーディションだけでなく、ユーチューブやニコニコ動画などの投稿サイトを入念にチェックする作業も始めている。砂漠から一本の針をみつけるような気の遠くなる作業だが、アマチュアの楽曲にもつねに目を光らせる、と意欲満々である。
◇「音楽」の日本、「音」の韓国◇
ここで、アジア市場にフォーカスしてみよう。じつはパッケージで92.3%、配信を含めても89.3%を日本が占めている(2010年度、IFPI調べ)。だがアジアには、音楽を楽しむ習慣がないのではなく、金銭を払って聴く習慣がない。さらに著作権法は制定されていても、実態が追いついていない。一例を挙げると、中国は毎年、日本から支払った著作権料の10分の1が、香港やモンゴルからは売上げの増減にかかわらず毎年、一定金額が、著作権料として日本に入金される。法律どおりに処理すると煩雑な手数がかかるので、とりあえず支払っておけばいい、と考えているようだ。
日本に著作権の概念が入ってきたのは、戦後である。進駐軍の指導のもと、丹念に対応しながら欧米の音楽を導入し、いまや世界一の著作権対応国家とまで評されるに至った。しかしここにきて、この著作権遵守ぶりがJ-POPのアジア進出を阻害している、という声が一部から挙がりはじめている。
一方、著作権が日本のテレビ局に譲渡され、ネットでもどんどん流されるなど、K-POPの著作権対応はかなり緩やかである。「J-POPを導入すれば煩雑な著作権処理が付きまとう。ならば、K-POPでいいじゃないか」――著作権意識が未熟なアジア諸国にとっては、好都合な音楽になっているのだ。
一つの楽曲を世に送り出すには、歌い手、作曲家、作詞家、演奏家など、さまざまな人びとが関与する。その対価が、著作権料として支払われるのである。K-POPが緩やかな著作権料で成立するのは、以下のような理由である。
「ビジュアル9割、音楽1割で制作されるのが、K-POP。アーティストのダンスで作り出されたビジュアルを、よりよくみせるために作曲し、聴く人にアピールしやすい言葉をつなげて作詞する。そこにあるのは音楽ではなく、音。そもそも著作権の発生を企図していない」(『日経エンタテインメント』2011年5月号、11月号より)
日本の音楽がファンを誘引し、定着した背景には、ヤマハや河合などの楽器産業の存在がある。楽器産業のほとんどない韓国や中国では、生音楽がなくとも、音があればいい。
「いまや音楽をやっているのは、日本だけ。お金を出して音楽ソフトを買う時代は終わった。日本のような展開を続けていけば、時代の潮流に乗り遅れてしまうだけであり、音楽業界に従事する人々を担うことは難しくなっていくだろう」(前掲誌)
そう警鐘を鳴らす声まで飛び出している。ちなみに、この警鐘に対し、加藤氏はこう反論する。
「昨今、中国にはヤマハが進出し、富裕層は英才教育の一つとしてピアノやエレクトーンなどの楽器を習わせています。音楽を聴く層が育成されているのです」
経済成長期にあるアジア。ほかの国々にも今後、富裕層が増加していけば、音楽を聴く層は増えていくことは十分予想できる。
◇どうする?著作権ビジネス◇
ではK-POPの収入の狙いはどこにあるのだろう。それは「ライブ」である。パッケージ売上げが後退する音楽業界で伸びているのは、配信とライブ。これは世界的な傾向で、米国ではライブが再び活性化しているようだ。日本でも近年は個々のアーティストによるライブのほか、各地で大規模コンサートが開かれ、地域おこしにひと役買っている。
ライブでは入場チケット販売のほか、アーティストに関連するグッズ販売による収入がある。CDや音楽ビデオも会場で販売される。主なコストは、アーティストやバンドの出演料、スタッフの人件費、広告宣伝費に、会場使用料などである。
しかしアジアでのライブ開催は、日本にとって壁がある。他国と物価の差が大きいので、コストに見合った収益が得られない心配が付きまとうのだ。K-POPが有利なのは、物価差が日本に比べてやや小さいこと、そして何より、バンドがいないことだ。ビジュアル重視のため、生演奏が入ることは少ない。多くはコンピュータを駆使したカラオケ形式であり、1万人以上の観客を前に3時間60曲以上を、バンドなしで行なうことも珍しくない。
日本は、この不利をどう乗り越えればよいのか。
「ライブにはスポンサーも付きますから、予算に合わせてやればいい。仮に赤字であっても、宣伝広告のコストと捉えれば採算は合います。あまりに少人数の場合はカラオケでやってもよく、そのあたりは柔軟に対応していけばいい。ただ、やはり生の楽器演奏があるのは強みです。つまるところ音楽は『感動』できるかどうか。生の楽器とコンピュータでは感動が違います」(加藤氏)
K-POPのような緩やかな著作権対応でネットに公開していくのも、ライブで観客数を稼ぐためであれば、ビジネスのつじつまは合う。配信が多くなれば、またそれによりパッケージ商品がヒットすれば、知名度は上がり、観客数が増え、著作権料ゼロでも採算は合うわけだ。
著作権を緩めて、音でいくか。管理して、音楽をやるか――現在、音楽業界を支える二大潮流だが、これは二者択一を迫られる問題ではないし、優劣を競わなければならない事情もない。業界にとっても、消費者にとっても、高いメリットをもたらす道は、両者が刺激し合うことで相乗効果を生み出し、より進化してくれることだ。そして後者の潮流である日本の課題は、アジアの著作権意識をどう高めていくかである。
「一つヒットを生み出せば50年、収益を生み続けることを知ってもらうのです。日本は著作権を守って世界一の市場をつくりました。この成功をアジアが知れば絶対、変わっていきますよ。もちろん法整備の必要もありますから、文化庁あるいは経済産業省の助力にも期待したいところです」(加藤氏)
さらに「われわれはね、日本のいいものを海外に出していきたいのです」という。演歌を海外に売り出すことも考えられるか、と尋ねると、「それは、むしろわれわれの理想とするところです」との力強い答えが返ってきた。
音楽は、文化。J-POPを通して日本人の考え方が世界に広まってくれることを期待したい。
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